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① | 自然免疫を 上げる方法 |
⇒ | BCG接種 |
② | 獲得免疫を 上げる方法 |
⇒ | (十分な中和抗体の得られる) 新型コロナウイルスワクチン接種 |
1.日本におけるBCGワクチン接種の現況
大阪市では、現在、結核予防のための定期接種として6か月の乳児に保健所でのBCG接種を行っています。現在は、保健所以外では行っていません。対象者は、お住いの管轄する保健所にて接種してください。大阪・関西は、先進国(G7)の国の中では珍しく、結核が多い地域です。BCGワクチンは、必須と思ってください。
上本町わたなべクリニックでは、開院以来足掛け15年にわたり、総合診療科の一環として、予防医学である、ワクチン外来・トラベルクリニックを開設していました。当時は、ワクチンが、予約してからの接種がほとんどで、在庫を抱えてのほぼ予約なしでも当日ワクチン接種ができるシステムを作りました。ワクチン外来・トラベルクリニックは、自由診療のため、有料です。尚、BCG以外の大阪市民の定期接種は無料で行っています。15年間の努力が実を結び、現在、関西最大級のトラベルクリニックになりました。
ワクチン外来・トラベルクリニックを行っていると、多くのBCGが必要な方が来院されます。年齢も0歳児から高齢者まで様々です。これまで衛生状況が極めて悪い環境の国に渡航し、衛生状況が極めて悪い人たちと直接接触する人たちの予防も行ってきました。BCGワクチンそのものが強いワクチンであることもあり、特に一般的に日本国内で行われていない成人に対するBCG接種は、多くの経験とノウハウが必要となります。
2.新型コロナウイルスの感染と死亡と、BCGワクチン接種の相関関係について
2020年の新型コロナウイルスのパンデミックにより、BCGワクチン接種国と非接種国では、感染者数・死亡者数ともに、5~10倍の開きがあるという疫学的な相関関係をしめす結果が報告されています。特に日本株とソ連株が効果的であるという相関関係が出ています。
BCGワクチン非接種国のスペインは、BCGワクチン接種国のポルトガルの感染者数・死亡者数ともに、およそ5~10倍です。実際スペイン人が来院され、BCGワクチン未接種のため、当院でBCGワクチンを接種されました。
同様に、日本株BCGワクチン非接種国のイランでは、新型コロナウイルスの感染者・死亡者がオーバーシュートしていますが、日本株BCGワクチンを接種しているイラクでは、明らかに少ないです。
1998年にBCGワクチンの強制接種を中止した旧西ドイツ地区では、ソ連型BCGワクチンを接種している旧東ドイツ地区の新型コロナウイルスの感染者・死亡者が少ないです。
このような例は、明確な科学的根拠は不明ですが、多くの国で相関関係が報告されています。因果関係については研究中です。
3.BCGワクチンのオフターゲットについて
オフターゲットとは、当初の目的であるBCGワクチンの結核予防効果以外の効果を言います。実際に日本では、BCGワクチンは、膀胱がんの治療にも使用されています。また、肺がんや喘息や寄生虫にも効果があるのではないかという報告があります。新型コロナウイルスについては、新型コロナウイルス感染者にBCGワクチン接種でウイルス量が減ったという報告がありますが、現段階では、人数も少なく、本当に、BCGワクチンの効果かどうかは不明です。現在、至急に研究がされています。
そして、BCGワクチンは、接種後およそ15年、免疫系の活性化作用があることが科学的にわかっています。免疫系が活性化すると、一般的に感染症やがんに対して有効に働きます。ただし、しかし、新型コロナウイルスやその他の感染症やがんに対して、効果があるのか、どの程度あるのかについては、現在、科学的に証明できていないので不明です。
4.BCGワクチン接種を反対する医師について
主に4つの理由を反対意見としています。
①BCGワクチン接種を自由診療で行うと、子供の定期接種のワクチンがなくなる。
②慣れていない医師によるBCGワクチン接種で事故が起きた例がある。
③新型コロナウイルスに対する効果は、科学的に証明されていない。
④WHOが推薦しないといっている。
5.上本町わたなべクリニック院長の反論
反対意見をする医師は、研究や科学を語るうえで最低限度である博士号を持っていなかったり、BCGワクチンの経験がなかったり・乏しいと推測されます。BCGワクチン接種をしたことがない医師のほうが圧倒的に多いです。そもそも医師でもないのに医学博士だけ持っていているだけの人もいます。
①BCGワクチン接種を自由診療で行うと、子供の定期接種のワクチンがなくなる。
⇒上本町わたなべクリニックでは、ワクチン外来・トラベルクリニックにおいておよそ15年の自由診療による必要な方への接種を行っています。必要な方の在庫もそろえています。2020年ににわかに始めたわけではなく、製造元もトラベルクリニックでの需要は想定内ですので、新規にBCG接種をするところがなければ、子供のワクチンがなくなることはありません。
②慣れていない医師によるBCGワクチン接種で事故が起きた例がある。
⇒ワクチン外来・トラベルクリニックにて、およそ15年にわたる乳幼児から成人までの接種に多くの経験とノウハウがあります。確かにBCGワクチンは強いワクチンのため、注意が必要です。にわかに経験の乏しい医師が接種して、事故があったことを根拠に、BCGワクチンを接種することを一律で否定するのは、非科学的です。これでは、経験の少ない外科医が手術で事故を起こせば、その手術は日本中で行うことができなくなります。
③新型コロナウイルスに対する効果は、科学的に証明されていない。
⇒新型コロナウイルスのワクチンの無い状況下では、免疫を上げることは、一般的に新型コロナウイルスに限らず、他の感染症やがんにも効果があります。さらに、自粛生活が続くと鬱っぽくなって、免疫力は低下する可能性が高いです。パンデミックの緊急事態の状況下では、数少ない新型コロナウイルス予防の選択肢の一つといえます。しかし、新型コロナウイルスに対するワクチンがない現在、BCGワクチンによる、免疫増強は、予防法として効果的と考えます。新型コロナパンデミックの緊急事態において、自分の感染や命を守る方法として、その時の科学水準から考え適切なことをするのが正しい医療者です。なお、ノーベル生理学・医学賞を受賞された、山中伸弥教授もBCGに対して意見を述べています。
【・BCG接種をしている国は、新型コロナウイルスの感染者数や死亡者数が少ない(傾向はみられますが、BCG接種が新型コロナウイルスの感染に影響するという科学的な証拠は今のところありません)】
④WHOが推薦しないといっている。
⇒WHOをあなたは信じますか?新型コロナパンデミックの経緯から、WHOの無作為による人災ではないでしょうか?テドロス事務総長に100万筆の除名要求が出たのももっともだと考えています。
6.そもそも、大阪・関西では、結核予防をこの機会に再確認する必要があると考えています。
新型コロナは、インフルエンザとは違いかなり強敵であることが徐々に明らかになってきました。科学的根拠も多くの実験が出そろい、効果がある研究や効果がない研究など様々な結果から、初めて、導き出されるもので、数年単位のかなりの時間を要します。1度の研究ですべて答えが出るわけではありません。オーストラリアでの治験は、オランダ株のため結果が芳しくないでしょう。オランダでも治験が始まっています。明確な科学的根拠が出るまで待っているうちに、感染や死亡したら意味がありません。免疫力を上げるといっても、通常その状態を保つことは困難です。そもそも、大阪・関西では、結核予防をこの機会に再確認する必要があると考えています。
7.新型コロナウイルスは、獲得免疫よりも、強い自然免疫のほうが重要ではないかという説が最近出てきています。
新型コロナウイルスは、新型なので、だれもその全容はわかっていません。様々な研究の結果数年もしくは10年単位で、さまざまなことが少しずつ明らかになってくるでしょう。もし、自然免疫が、獲得免疫よりも効果的であれば、免疫賦活化作用のあるBCG接種は期待ができます。自然免疫が上がれば、新型コロナウイルスだけでなく、他の、ウイルスや細菌や寄生虫などの微生物や様々ながんに対して、個々の病気に対して効果があるか・あったとしてどれくらいなのかは科学的な証明はされていませんが、現時点で、BCG以外で免疫賦活化作用を上げる方法はないため、海外渡航者や基礎疾患(特に高血圧・心臓病・血管疾患肺疾患・糖尿病・ガンなど)や高齢などリスクの高い人については、一つの選択肢だと考えます。そもそも、現段階では、獲得免疫を上げるワクチンは存在していません。なお、すべての希望する人にBCG接種を行っているわけではありません。問診や検査等の上で、医師が可能と判断した人のみに接種が可能です。
8.上本町わたなべクリニック渡邊章範医師の2020年5月20日での新型コロナウイルスに対する2重の予防策の考え方
①およそ15年の免疫賦活化作用をもたらすBCG接種。
(これは、新型コロナウイルの研究の一つ一つの論文の結果によって変わるものではありません。)
②獲得免疫を得るための新型コロナウイルスのワクチン
(現時点では、ワクチンは開発されていない。できたとしても効果が弱い可能性も指摘されっている。これはできないとわからないし、効果的なものができるかもしれない。そもそもワクチンが作れない可能性もある。)
① | 自然免疫を 上げる方法 |
⇒ | BCG接種 |
② | 獲得免疫を 上げる方法 |
⇒ | (十分な中和抗体の得られる) 新型コロナウイルスワクチン接種 |
※ワクチンの接種は自己責任です。よく考えて受診してください。
■結核に関する研究・寄稿の紹介
◎「なぜ日本は重症化率が低いのか」新型コロナ"ファクターX"は2つに絞られた
12/13(日) 9:16配信 プレジデントオンライン順天堂大学医学部小林弘幸教授
日本で新型コロナの重傷者や死者が少ない要因を、京都大学の山中伸弥教授は「ファクターX」と名づけた。その正体はなにか。順天堂大学医学部の小林弘幸教授は「さまざまな研究からファクターXは2つに絞られた」という――。
■BCGワクチンによる訓練免疫の効果
118カ国のBCG接種状況と新型コロナウイルスの被害状況との関連性を調べた、昭和大学の大森亨准教授の研究によれば、感染者数の増加速度で約1.7倍、死亡者数の増加速度で約2.4倍の差が生じていることがわかっています。
BCGが新型コロナウイルスを抑えるメカニズムは明確になっていません。しかし、以前からBCGが免疫力を強化し、とくに乳幼児では結核以外の病気に対する耐性を高め、死亡率を半分にしていることがあきらかになっています。
また高齢者に対しても、呼吸器への感染を減少させる効果があることが報告されています。 さまざまな研究から、BCGには免疫系を訓練して、活性化しやすい状態にする効果があると考えられているのです。
■「メモリーT細胞」の存在
もうひとつのアジア圏におけるファクターXは、「交差免疫」です。 アジア圏では、過去にも別種のコロナウイルスに感染した経験のある人が多く、新型コロナウイルスに対して獲得免疫が機能したのではないか、と考えられています。
このように、近縁のウイルスで得た獲得免疫が機能することを「交差免疫」といいます。近年に確認されたコロナウイルスは7種類あります。
・新型コロナウイルス
・SARS(重症急性呼吸器症候群)……2002年に中国で発生
・MERS(中東呼吸器症候群)……2012年にアラビア半島で発生
・そのほか、4種類の普通の鼻風邪ウイルス
◎BCGワクチン療法による高齢者肺炎の予防法の確立
東北大学 呼吸器内科学 大類 孝 助教授
私共が以前、高齢者介護施設に入所中の方々を対象に行った研究によれば、日常生活活動度(ADL)が低下しかつ肺炎を繰り返す寝たきり高齢者では、末梢血液中のヘルパーT(Th)リンパ球のうち細胞性免疫を担うTh1細胞の絶対数が減少しており、そのような方では細胞性免疫の指標の一つであるツベルクリン反応(ツ反)が陰性化していること、およびツ反陰性群では陽性群に比して肺炎発症率が有意に高い事実が明らかにされた(Thorax2000)。今回、私は本研究において、細胞性免疫賦活化作用を有するBCGワクチン接種が、寝たきり高齢者における肺炎の発症を予防し得るか否かについて検討を行った。
方法は、高齢者介護施設に入所中のADLの低下した155名の高齢者を対象とし、ツ反を施行し陽性群及び陰性群に分け、さらに陰性群を無作為にBCG接種群及び非接種群に割り付けをした。そして、BCG接種4週間後に再びツベルクリン反応を施行し、陽性者を陽転群とし、その後2年間にわたり各群における肺炎の発症率を前向きに追跡調査した。その結果、ツ反陰性群では44名中19名(42%)に、陽転群では41名中6名(15%)に、ツ反陽性群では67名中9名(13%)に新たな肺炎の発症が確認され、ツ反陽転群では陰性群に比して肺炎の発症率が有意に抑制された(p=0.03)。以上の結果より、BCG接種は細胞性免疫の低下した寝たきり高齢者において、肺炎発症の予防効果を有する事が明らかにされた。BCGワクチン投与群では、免疫能の指標である末梢血のNK活性、CD4リンパ球数、CD8リンパ球数、CD4/CD8比、Th1リンパ球数は、それぞれワクチン投与前後で、平均60.0%(前)vs51.5%(後)、526vs604個/μ1、452vs374個/μ1、1.16vs1.71、144vs180個/μ1と変化し、ワクチン投与によりCD4リンパ球数の上昇、Th1リンパ球数の増加を認め、BCGワクチン投与が寝たきり高齢者における細胞性免疫能を高める事が確認された。
◎Previous vaccines and masks may hold down Covid-19, some researchers say
By Christina Maxouris, CNN
Updated 2257 GMT (0657 HKT) August 11, 2020
"When we looked in the setting of Covid disease, we found that people who had prior vaccinations with a variety of vaccines -- for pneumococcus, influenza, hepatitis and others -- appeared to have a lower risk of getting Covid disease," Dr. Andrew Badley, an infectious disease specialist at Mayo Clinic, told CNN's Anderson Cooper on Monday night.
Mayo ClinicのDr. Andrew Badleyが、CNNに、様々なワクチンを接種していると、新型コロナウイルスのリスクが低くなるとインタビューに答えた。
In June, a team of researchers in the US proposed giving a booster dose of the measles, mumps and rubella (MMR) vaccine to people to see if it helps prevent the most severe effects of coronavirus infections.
6月の最新研究によれば、MMRが、新型コロナウイルスのリスクが低くなる。
And last month, researchers found that countries where many people have been given the tuberculosis vaccine Bacillus Calmette-Guerin (BCG) had less mortality from coronavirus, a finding that fits with other research suggesting the vaccine can boost people's immunity in general.
7月の最新研究によれば、BCGが、新型コロナウイルスのリスクが低くなる。
◎日本人の3割が「コロナ感染」という新説
消える抗体、ワクチン不可能は本当か
7/30(木) 5:57配信デイリー新潮から引用
国際医療福祉大学大学院の高橋泰教授(公衆衛生学)の話にも、耳を傾けたい。(中略)また、日本の死亡者数が欧米の100分の1にとどまる理由を推察すると、 「体内でウイルスが感染に十分な量に増殖する前に自然免疫で処理され、感染のチェーンが切れやすい。自然免疫が高い理由は、BCGの国による接種状況の差も考えられます」
◎「BCGは新型コロナによる死亡率の軽減に寄与している可能性がある」と最新研究
松岡由希子7/14(火) 18:20配信から引用
2020年7月9日に「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」で発表された予備調査では、「BCGワクチンは新型コロナウイルス感染症による死亡率の軽減に寄与している可能性がある」とし、「BCGワクチンが新型コロナウイルス感染症に作用するメカニズムを解明する必要があるとともに、新型コロナウイルス感染症の重症化防止へのBCGワクチンの有効性についても検証すべきだ」と説いている。
緊急寄稿
◎新型コロナへのBCG仮説を中心に諸因子を考える 新型コロナ、日本の低い死亡率は“幸運”だから?
JCHO東京山手メディカルセンター徳田均著より引用 (日経メディカル2020/06/16)
COVID-19の死亡率にこれほどの差があり、今世界的にその理由が探られている中で、最も説得力の高い理論の一つと思われるこの仮説(*BCG仮説を指す)が、わが国では、ほとんど認知されていないということである。単に地域が一致しているだけで、それは偶然であり、それ以上の科学的理由はないと見なされ、あまつさえ、最近出たイスラエルからの否定的な論文をもって、もうとどめは刺されたと言わんばかりの論が感染症専門家からも発せられている。そのような誤解を解くためにも、この説が多くの科学的知見に基づいた、説得力の高いものであることをここでぜひご説明したい。